アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
オメガ
デ・ヴィル
フランス語で“街角”という意味を指すデ・ヴィルは1960年、シーマスターの薄型モデルとして誕生した。その数年後、オメガのアメリカ代理店ノーマン・モーリスがオメガ本社に対し、デ・ヴィルの名称を文字盤に入れることを提案したことにより、“シーマスター デ・ヴィル”が誕生したとされる
その後、67年にシーマスターから独立し、薄型のドレスウオッチ専用のラインとして再編されるのだが、今回紹介するモデルはその独立する前後に製造されたと思われるモデルである。よく見ると文字盤から“Seamaster”の表記はなくなっているものの、裏ブタにはしっかりとシーマスターを象徴するシーホースがあしらわれているのだ。

【写真の時計】Ref.165.008。SS(34mm径)。自動巻き(Cal.711)。1968年頃製。21万8000円。取り扱い店/WatchTender 銀座
この当時のデ・ヴィルは、同年代のシーマスターと比較すると、細いベゼルと非常に薄いケースが特徴となっており、ラグも細く華奢な印象を与えるが、スクリューバック式の裏ブタを採用し、シーマスターの名に恥じぬ防水性を確保している。
またマット仕上げのホワイト文字盤にはブレゲ数字のアラビアインデックスが使用されており、ドレスウオッチらしい上品な佇まいだ。黒いリーフ針もエレガントでありながら視認性を高めている。
ムーヴメントには、コンステレーション クロノメーターにも採用されていたものと同系統のCal.711が搭載。オメガの最高傑作と名高いCal.560系を、さらに薄型化した設計が特徴的で、パーツ配置からは後のCal.1000系に通ずる設計が見て取れる。錆防止のためにカッパーメッキが施された美しいムーヴメントは、オメガならではの仕上がりだ。
シーマスターの実用性とデ・ヴィルのドレッシーさ、二つのいいとこ取りをしたこのモデルは、実用性と上品さのバランスが取れたオメガらしい時計と言えるだろう。ドレスウオッチが好みだが、日常生活での使用には不安が残るという人には、ぜひチェックしてほしい1本だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WatchTender 銀座