Vuollé Watches(ヴォーレ)は、2023年にフィンランド南西部にある内陸都市タンペレで創設された、日本未上陸のマイクロブランドだ。
タンペレは古くから工業都市として知られ、職人技に裏打ちされた製造業の一端を担いながら、今なお、その伝統と産業を継承している。
ヴォーレは、そうしたタンペレの文化を受け継いで時計を製造しており、古い紡績工場をリノベーションした工房で、時計の仕上げと組み立てを手作業で行っている。
ヴォーレを率いているのは2人のフィンランド人時計師、イェレ・ユーソ・ヴオレラとヌーッティ・ヘラーラである。
いずれもフィンランド時計学校の卒業生として3年間の時計製作プログラムを修了しており、コーヒーブレイクで時計業界の問題について会話するなかで、フィンランドの平凡な時計シーンに活気と興奮をもたらしたいと思考するようになっていく。
自分たちのオリジナルブランドを立ち上げることを決意した彼らは、デザインの製作を開始し、少しずつプロトタイプの製造に進歩していった。
将来的にはフィンランド国内で時計のすべての部品を自社製造するというビジョンを掲げているが、現段階では、シンプルかつエレガントなデザインで、存在感を持つ時計を適正な価格で顧客に提供することにフォーカスしている。
Vuollé Watches(ヴォーレ)
クリモス
クリモスは、日常使いから特別な場面までを想定して設計された手作りの機械式腕時計だ。フィンランドは1年を通して天候が曇りがちで、特に冬は日照時間が短いため、色彩とコントラストを時計に取り入れようと試みた。
モデル名の“Kurimus(クリムス)”とはフィンランド語で“渦流”を意味しており、その名の通り、ギョーシェ仕上げによる文字盤パターンが大きな特徴となっている。
この“渦潮”のインスピレーションは、タンペレ市街を貫くタンメルコスキ川の急流から得たものだ。
【画像6枚】60年代ゼニス製ムーヴメント搭載、“クリムス”を別アングルで見る
製作コンセプトは“何か新しいもの、何か古いもの”で、時計は新しいが、古いムーブメントを搭載しているのも特徴だ。
1955年に登場したスイス製の手巻きキャリバー“Zenith 40T”をベースとするオールドムーヴメントを採用しており、タンペレの工房でオーバーホールを実施し、手仕上げでモディファイされている。シースルーバックにより、50年以上前のこの歴史的ムーヴメントを鑑賞可能だ。
文字盤は魅惑的なギョーシェCNC加工によって精密に彫り込まれており、シンプルなステンレススチール針を配置している。この針はフィンランド・ヘルシンキに隣接したエスポーで製造、タンペレで手仕上げされたものだ。
マットなサンドブラスト仕上げを施したケースはステンレススチール製で、直径38mm、厚さは9.4mm。サファイアクリスタル風防を装備し、50m防水を備えている。
フィンランド産のベジタブルタンニンなめし牛革ベルトが付属し、アッシュとアルダーの木から作られたフィンランド手作りの時計ボックスに収められている。
販売販売価格は2382ユーロ(日本円で約41万1000円)。ブランドのウェブサイトによると2025年8月現在、在庫切れとなっている。気になった人は、今後の再販売に期待しつつ、動向をチェックしてみよう。
【画像】“渦潮”ギョーシェ文字盤、ヴォーレの時計を別アングルで見る
》Vuollé Watches(ヴォーレ)
公式サイト
https://www.vuollewatches.com/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/
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