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【薄型だけど手巻きじゃない⁉】歴史的名機を搭載した薄型ドレスウオッチに注目

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


パテック フィリップ
ゴールデン エリプス

今回紹介するのは、1970年代に製造されたパテック フィリップのゴールデン エリプスだ。18金イエローゴールド製のスリムケースと、オーバル形のフェイスが特徴的で、一見すると同年代の高級薄型手巻き時計を思わせる構成だが、なんと本モデルでは自動巻きのムーヴメントを搭載しているのだ。

デザインに注目すると、ドレスウオッチとしては比較的大きめな、36mmサイズのオーバル形ケースを採用しており、ゴールド色のケースとブルー文字盤の色味も合わさることで、腕元で十分な存在感を発揮するだろう。

高級ドレスウオッチであるがゆえに防水性能を備えていないため、高温多湿の気温や水気を避け、適温に調整された室内でのみ使用したい1本だ。

【写真の時計】パテック フィリップ ゴールデン エリプス。Ref.3589。K18YG(36mmサイズ)。自動巻き(Cal.28-255)。1970年代製。289万円。取り扱い店/黒船時計古酒店

【画像:文字盤の状態や特徴的なムーヴメントを見る(全5枚)

通常の時計であればケースに厚みの出てしまう自動巻きムーヴメントだが、本モデルはジャガー・ルクルトの薄型自動巻きムーヴメント、Cal.920(パテック フィリップではCal.28-255)を採用したことでドレスウオッチにふさわしいスタイリングを手に入れている。このムーヴメントは、パテック フィリップ以外にも、オーデマ ピゲやヴァシュロン・コンスタンタンなどのブランドにも供給され、各社の時計製造を支えていたことで知られており、愛好家の間でも名作ムーヴメントとして語られている。

通常、ムーヴメントを薄型化する際には、分針をつかさどる2番車をオフセットさせる手法が多く用いられているが、Cal.920では通常どおり2番車を中心に置いた輪列を採用している。これは、針合わせ操作時の針の安定感を向上させ、置き周り(歯車の遊びや摩擦車の滑りにより針が回らない状態)を防ぐ意図があると考えられる。加えて、秒針を廃した2針で問題ないという点も、この輪列の採用に踏み切った要因であると考えられる。

また、細いローター芯をクリップで固定した構造も特徴的だ。この細い芯は回転抵抗を減らして、巻き上げ効率を向上させるが、衝撃に弱くなってしまう。そのため、強度を担保するために、ローター側にレールを、地板側の外周にルビー製のローラーを設けることで、荷重を分散させるユニークな設計を採用している。

そしてこのムーヴメントは、近年のオーデマ ピゲなどの高級ブランドでも採用されており、各部にマイナーチェンジを加え、パーペチュアルカレンダーなどのモジュールを追加することで、いまなお現役で活躍しているのだ。

ブランドネームのみならず、機械的な歴史や魅力の詰まった自動巻きの名機を搭載するゴールデン エリプスに注目だ。

 

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文◎LowBEAT編集部/画像◎黒船時計古酒店

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