LowBEAT magazine 最新入荷情報

【海外市場向けに製造されたセイコーの輸出モデル?】1970年代初頭のタイムレスなデザインが魅力の自動巻き

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


セイコー
クロスライン デイト

1930年代から1970年代にかけて、アメリカ市場では機械式時計の石数が輸入関税に影響する制度が存在していた。
その制度に対応するため、多くのメーカーが“17石”という仕様の時計を輸出していたと言われている。
今回紹介するセイコーの自動巻きモデルも、そうした時代背景の中で生まれた一本だ。

本個体はネイビーの文字盤にクロスラインを組み合わせた、非常にシンプルかつスポーティーな意匠が特徴的で、輸出用モデルに多く見られた、ペットネームやモデル名が表記されていない仕様となっている。

また、搭載される70系のムーヴメントは、手巻き機能のない自動巻き専用のムーヴメントであり、国内市場では21石仕様であることが多いのに対し、本個体は17石と表記されている点から、海外向けに製造された個体であることが推測できる。

これは当時の北米市場を中心とした海外輸出戦略における関税対策であったとされている。最大の輸出先であったアメリカにおいては、18石以上のムーヴメントにはより高い関税が課される区分が設けられており、石数や精度調整のグレードなどに応じて関税が加算される仕組みとなっていたそうだ。

【写真の時計】セイコー クロスライン デイト。Ref.7005-7001。SS(36mm径)。自動巻き(Cal.7005)。1970年代製。4万9800円。取り扱い店/WTIMES

【画像:クッション形のケースや裏ブタの状態をさまざまなアングルから見る(全5枚)

そのため、セイコーをはじめとした日本国内のメーカーに限らず、多くのスイスメーカーも、使用する受け石を17石に抑えた製品を輸出することで、価格競争力を維持する戦略をとっていたのだ。

摩耗対策のために使用される石数が少ないというと、品質的に劣っているという印象を持つ人も少なくないが、本個体に搭載されるCal.7005においては、脱進機や輪列などの主要な駆動部品に受け石を使用しているため、十分な耐久性を有している。

むしろ、国内市場向けに製造された21石のCal.7019などについては、ガンギ車や三番車などの輪列に、潤滑油を保持するための蓋石を被せたダイアフィックスと呼ばれる構造を採用したやや贅沢とも言える仕様なのだ。

曜日表示の機能は備えていないが、基本的な構造はセイコーファイブと同様であり、海外市場においても比較的廉価なグレードとして位置づけられていたモデルと考えられる。高価な時計ではなかったものの、Cal.70系を搭載する時計は堅牢な設計やシンプルなデザインから市場で人気を博し、現在でも国内外を問わず、インターネットオークションやアンティークショップを中心に取引されている。

インスタグラムをはじめとしたSNSにおいても、海外のコレクターやセイコーファンからアンティークウオッチの入門機やデイリーウオッチとして評価されており、長年にわたって親しまれている時計なのだ。

廉価な普及品でありながら、半世紀以上にわたって使用できる堅実な設計によって多くのファンを集め続けた、セイコーのCal.70系搭載機に改めて注目したい。

【LowBEAT Marketplaceでほかのセイコーの時計を探す

 

 

文◎LowBEAT編集部/画像◎WTIMES

次のページへ >

-LowBEAT magazine, 最新入荷情報

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com