最新入荷情報

【時代を先取りした防水構造】1960年代に300m防水を実現したセイコーのハイスペックダイバー

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


セイコー
プロフェッショナルダイバー300m

圧倒的な信頼性と実用性を備えることから、世界中のダイバーや時計愛好家から支持を集めるセイコーのダイバーズウオッチ。今回はセイコーダイバーズの進化過程において重要な中継地点となったモデルである、プロフェッショナル300mの魅力を解説していく。

【写真の時計】セイコー プロフェッショナルダイバー300m。Ref.6159-7001。SS(44mm径)。自動巻き(Cal.6159A)。1969年頃製。74万円。取り扱い店/黒船時計古酒店

 

【画像:このモデルの着用カットを見る

1965年に登場した、ファーストダイバーこと62MASの登場から2年後、その2倍の防水性能を備えたプロフェッショナル300mの初代モデルが登場する。今回紹介するのは、その翌年(68年)に登場した、ハイビートムーヴメントのCal.6159を搭載する後継モデルだ。

150m防水のファーストダイバーのケースは、当時の海外製品の設計を参考にしていたが、プロフェッショナル300mでは、ワンピース構造、ネジ込み式リューズ、無機ガラスの風防と、それを固定するバヨネット式構造など、初代で不足していたスペックを補い、セイコー独自の進化を遂げた。

さらに、当時はまだ両方向回転式であったベゼルの裏側にはノッチを刻み、そこにスチールボールを当てる構造を採用。これにより不用意な回転を防ぎつつ、操作時にクリック感をもたらし、正確な位置への固定を実現した。この工夫は、現代のセイコーダイバーズに備わる逆回転防止ベゼルの設計思想の原点とも言える。使用者の安全を第一に考えた、まさにセイコーらしい発想だ。

堅牢性を重視した設計を盛り込んだこの時計は、その頑強さと信頼性の高さから、潜水士だけでなく、70年に冒険家である植村直己のエベレスト登頂に使用されるほどのスペックを備えていた。また、著名人が使用していたエピソードとして『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』の作者であり、時計愛好家としても有名であった松本零士氏が愛用していたことでも知られている。

外装に注目すると、実用性と耐久性を両立させた、均整のとれた美しいデザインが魅力的だ。マットブラックの文字盤にはゴールドレターが施され、立体的なフチどりのなされたインデックスが視認性を高めるとともに、高級感を演出している。また、立体的なカット加工がなされた時分針からも手間をかけて製造されたことが伝わるだろう。

ムーヴメントには、当時のグランドセイコーにも使用されていたCal.6159を搭載。毎時3万6000振動(毎秒10振動)のハイビート機であり、使用者の安全を考慮して、高い精度と耐久性を備えたムーヴメントとして選定されたことがうかがえる。そして、それを納める重厚感のあるワンピースケースは、セイコーらしい平滑面と大胆な傾斜を組み合わせた造形が特徴。造形美と装着性を高い次元で融合させている。

他社に先駆けてガラス風防やワンピース構造を採用するという先見の明は、後に300mを超える深度での飽和潜水に対応した後継機であるRef. 6159-7010、通称“ツナ缶”が誕生するのには欠かせない要素であった。そして、この時代に得られたデータは、ブラッシュアップを繰り返しながら現在のセイコーダイバーズたち脈々と受け継がれているのだ。

 

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文◎LowBEAT編集部/画像◎黒船時計古酒店

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