ピックアップアイテム 小スライド 連載記事 @kikuchiのいまどきの時計考

やっぱりいいね【38mm径に厚さ9mm】IWCの傑作軍用モデルを継承する20年前の最終形“XV”|菊地吉正の時計考_021

マークXVの初期型プレスタイプ

先日、とある外車ディーラーの営業マンと会ったときのこと、彼が着けていた腕時計がなかなかシブく真っ先に目に止まった。サイズ感といい雰囲気といい紺ブレにとても似合っていてあらためていい時計だと感じた。そこで今回は彼が着けていたIWCのマークXV(15)について取り上げる。

IWCのマークシリーズとは、1936年の通称マークIX(正式名ではなかった)に始まる。その後継となる通称マークXはイギリス空軍の要請で45年に誕生、6000本が軍に納入された実績をもつ歴史的な軍用パイロットウオッチである。

マークXVは、このXをより高性能化して48年に製造されたマーク11(正式名称となりアラビア数字で表記された)、そしてそのDNAを受け継ぐ復刻モデルとして94年に登場したマークXIIの後継機として99年にリリースされた。つまりIXから数えると5代目ということになる。

余談だが、モデル名の数字でマークXIIからいきなりXVとなって間のXIIIとXIVが飛んでいる。これについては諸説あるが公式に発表されていないため正確には不明。加えて近年ではXIXが採用されず現在販売されているのはマークXXだ。

スタンダードなマークXV

さて、マークXVが搭載するムーヴメントはETA社の自動巻きCal.2892A2ベースのCal.37524。マーク11から採用された軍用由来で時針の先端が角ばったバトン型針を継承する最後のモデルという点も見逃せない。

30Gの耐衝撃性と軟鉄性のインナーケースによってムーヴメントが覆われており高い耐磁構造をも備える。ケースは38mmで厚さも約9mmと着けやすく日常使いでこそその良さを実感できるモデルといえるだろう。

ラインナップは、黒文字盤のほかに白文字盤も用意されており、白文字盤は総生産数が3500個しかなかったようで希少性が高い。また初期生産分にはマークXIIより継承した11連ブレスレットタイプ(トップの写真参照)もあったが、その後は5連に変更。この5連タイプも中期と後期で2種類存在する。

なお、ユーズドの実勢価格は革ベルトのスタンダードなもので60万円前後から。11連ブレスタイプだと80〜90万円台、レアな白文字盤は120万円前後といったところだろうか。

マークXV
生産期間:1999(2000年リリース)〜2005年
素材:ステンレススチールケース
ケース径:38mm
防水性:6気圧防水
駆動方式:自動巻き(Cal.37524)
その他:日付け表示
当時の国内定価38万8500円

【画像】マーク11とマークX、そして希少な白文字盤はこちら!

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

次のページへ >

-ピックアップアイテム, 小スライド, 連載記事, @kikuchiのいまどきの時計考
-, ,

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com