腕時計といえば圧倒的に支持されているのがラウンド(丸形)ケースである。ただ近年は時計好きというよりは比較的に若い層の間においてファッションアイテムとして角形ケースが見直され人気を集めている。その火付け役となっているのがカルティエだ。
そして今回ここに取り上げるのはそんな人気のカルティエではないものの、同様の角形ドレスウオッチでしかも“古いのに新しい”という、ちょっと珍しい「レクタンギュラー138IV」というモデルである。
なぜ“古いのに新しい”のかというと、80年代に日本で実際に販売されていたスイスメイドの手巻き式時計がデッドストックで発見され、そのムーヴメントとケースはそのままに、文字盤や時分針のデザインだけを作り変えて製品化した代物だからだ。
文字盤は少し経年変化で焼けたようなアイボリーにしてインデックスにはアプライドのブレゲ風アラビア数字を採用する。これはパテックフィリップの1940年代の角形モデルから着想を得たデザインとのことで、金メッキを施した真鍮製ケースにワイヤーラグといった古典的なディテールも味わい深い。

そして何と言っても1番の魅力はスイス・フォンテンメロン社の手巻きキャリバーFHF138を搭載している点だ。80年代にETA社に吸収されたため現存しないが、創業は1793年と古く1900年代初頭には年産1000万個、従業員数約1000人を抱えるほどムーヴメント専業メーカーとしては当時2番目の生産量を誇っていた手巻きの名門だ。40年代にはロレックスにも採用されていた実績をもつ。
デッドストックのためもちろん未使用品だが、しっかりオーバーホールで調整を行なったうえで組み上げられているため30年以上経った製品ではあるものの、ムーヴメントについては1年保証が付く点は見逃せない。
価格は税込11万円といまとなってはかなりのお買い得。しかもケースサイズ24×31mmとちょうど70年代のカルティエ・マストタンクよりも1mm大きいぐらい。小ぶりな角形ドレスウオッチを探している人には一考の価値ありではないか。
[購入はこちら]
https://shop.powerwatch.jp/webshop/2021/04/18/yk20203-3/
【アウトライン・レクタンギュラー138IV】
型番:Ref.YK20203-3
素材:[ケース]真鍮(メッキ)、[裏ブタ]ステンレススチール、[ベルト]リザード(トカゲ革)、裏材はカーフ
サイズ:ケースサイズ24×31mm、ケース厚8.3mm
防水性:非防水
駆動方式:手巻き(フォンテンメロン社製 Cal.FHF138/17石/毎時2万1600振動(日差-30秒+50秒)/最大巻き上げ時約42時間パワーリザーブ/秒針停止機能なし)
価格:110,000円
文◎Watch LIFE NEWS編集部