
2010年製造のデイトナ、Ref.116520
1963年に誕生したコスモグラフ デイトナ(以降デイトナ)。2007年にレガッタクロノグラフ機構を装備したヨットマスター II が登場するまで、実に44年もの間、ロレックス唯一のクロノグラフとして人気を牽引してきた存在だ。
そんなデイトナで今回注目したのは第5世代目のRef.116520だ。2000年にリリースされたレファレンスで現行モデルを含めて二つ前の世代ということになる。
最大の特徴はロレックスが初めて自社で開発した自動巻きクロノグラフムーヴメント、Cal.4130が搭載されている点。意外かもしれないが1931年に早くも自社開発を遂げ自動巻きムーヴメントのパイオニアとも言えるロレックスが、クロノグラフのムーヴメントだけは手巻きも含めて作ってこなかったのである。
このCal.4130は長年他社製の優秀なクロノグラフムーヴメントを採用し、それに独自の改良を加えつつ研究を重ねてきたノウハウをもとに完成させた集大成。その合理的かつコンパクトな設計はメンテナンス性にも優れており評価はかなり高い。
しかしながら、ベゼルがブラックセラミックでメリハリのある現行デザインになってからは、第6世代の116500や現行第7世代の126500に人気が集中しているというのが正直なところ。116500は鏡面仕上げされたメタルベゼルの光沢感は高級感があるし、クラシックでどこか落ち着いた印象のため、幅広いシーンで着けられるなど魅力はけっして少なくない。デイトナ狙いの人はぜひ一考してみてもいいのではないか。。

左がホワイトダイアル、右二つがクリームダイアル(写真◎コミット銀座)
そんな116520について時計専門店のコミット銀座で鑑定士を務める金子氏は大きな値崩れがなく相場も安定しているためおすすめだと語る。現在の実勢価格は、中心価格帯が300万円台で予算の目安としては300万円台半ばといったところだろうか。加えて金子氏は相場はグッと上がってしまうがもし予算的に可能ならば特にクリームダイアルはおすすめだそうだ。
これは2000年から04年の初期の年代に製造された個体(P・K・Y・F番)に存在するもので、本来は真っ白なはずの文字盤が経年変化でクリーム色に変色した個体を指す。ただすべてが変色するわけではないため、その希少性から探している愛好家も多く相場も400万円以上と高額になる。しかもその色味が濃いほどより高額になるそうだ。
いずれにせよ116520は製造期間も約15年間とかなり長いため流通数も多い。そのため中古とはいえコンディションについても色々選べる状況にある。ぜひ選択肢のひとつとして注目してみてはいかがだろうか。
さて、話は変わるが、人気10モデルについてこの1カ月間で実勢価格がどう動いたのかを次ページで紹介する。今回は3月、4月度も併せて記載させていただいた。下落傾向もかなり鈍化した感じだろうか。
>>>次ページ「主要10モデルの月刊ロレックス相場」