アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ベンラス
ウルトラディープ
今回紹介するのは、アメリカの時計ブランドであるベンラスが1960年代に手掛けた、ダイバーズウオッチのウルトラディープだ。ミリタリーウオッチ愛好家の方であれば、タイプⅠやタイプⅡの製造を手掛けたメーカーとして、一度は耳にしたことのあるブランドではないだろうか。

【写真の時計】ベンラス ウルトラディープ。SS(36mm径)。自動巻き(Cal.ETA2472)。1960年代製。34万8000円。取り扱い店/ジャックロード
このモデルには、当時数多くの時計メーカーに防水ケースを供給していた、ケースメーカーのEPSA社が手がけたスーパーコンプレッサーケースを採用。2時位置と4時位置に配された二つのリューズが特徴的であり、2時位置がインナーベゼルの回転操作を、4時位置が時刻調整の役割を担っている。ケース内に回転ベゼルを納めたこの構造は、潜水の経過時間を確認するベゼルが不用意に回転することを防止するためだったとされている。
現在では防水性能が保証できないものの、スーパーコンプレッサーの名が示すとおり、当時はケースに水圧が掛かることでパッキンが圧縮され、気密性の高まる構造が採用されていたのだ。
シンプルな文字盤と独特な形状の針の組み合わせは、機能性を追求しながらもどこか愛らしさを感じさせる仕上がりで、そのなかでも6時方向にプリントされた防水性能を示す“666FT”(およそ200m)の表記が印象的だ。また、回転ベゼルが外側にないスリムなケースフォルムがシャープな印象を与えており、防水規格がまだ厳格でなかった時代のアンティークならではの味わいを感じさせる。
ムーヴメントには、数多くのメーカーで採用されていた実績のあるCal.ETA2472を搭載。優れた設計のコンパクトな自動巻きムーヴメントであり、しっかりと整備を行えば、毎時1万8000振動(毎秒5振動)のロービートながらも安定した性能を期待できる。
36mm径の小ぶりなケースサイズだが、どっしりとした厚みと形状であるため、手元で十分な存在感を示すだろう。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ジャックロード