●MOPのカラー塗装と加工方法について
近年は多様なカラーを採用したものも多く見られるMOPウオッチ。MOP文字盤へのカラー塗装は、白蝶貝から切り出した文字盤ブランク(半加工品)を厚み0.2mm以下まで薄く研摩し、透過性を出したのちにブランクの裏面に行われるのが一般的だ。裏面から塗装を行うことで表面から透けてカラーが見えるようになり、MOPのパターンも塗装で消えることなく表現することができる。表面から塗装すると模様が消えてしまうため、MOP独特の素材感を生かすためには、可能な限り薄くして裏面に塗装を行う点が最も重要とされる。
天然素材としては地球上でも指折りの丈夫さを誇るMOPだが、時計の文字盤として使用されるものは非常に薄いため、破損しやすく加工も難しい。通常の文字盤製作に広く採用されるレーザー加工やエッチングはMOP自体が焼けたり溶けたりしてしまうため、機械切削や透明印刷を用いた加工が一般的とされる。
とりわけ近年は加工技術の向上により、国産ブランドにおいても多種多様なデザインやカラーを採用したMOP文字盤が増えてきている。
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なかでもオリエントスターやケンテックスは、高度な加工技術をもちながら手の届く価格帯のMOPウオッチを展開している国産ブランドで、本記事の制作にもご協力いただいた。改めてお礼を申し上げたい。
最後に、今回の取材をとおしてわかった見分け方のコツから製作事情、ウラ話の類いまで“MOPウオッチのウワサ3選”を紹介する。
【取材でわかった!MOPウオッチのウワサ3選】
《ウワサ①》
『同じモデルを複数並べると、MOPの完成度がわかりやすい!?』
多少の個体差があるのが魅力でもあるMOPウオッチだが、同じモデルで複数個を見比べてみて、色ムラや個体差が大きい場合などはMOP部位をランダムに使用していたり、品質の基準をそこまで厳しくしていないという可能性も。
《ウワサ②》
『現代におけるMOP文字盤の質の差は、工作機器よりも貝の種類や部位の差!?』
2000年代以降は目覚ましい技術革新もあり、工作機器の差によるMOP加工の良し悪しはかつてよりなくなっている。それよりも貝の種類や同じ貝でもどこの部位を使用するかによって、コストや完成度が大きく変わってくるそうだ。
《ウワサ③》
『製作過程上のロスが大きいため、メーカーはあまり作りたがらない!?』
MOP文字盤はその性質上、製作過程上で一定数破損などが生じてしまうため、どうしても原材料費や製造コストのロスが大きくなってしまう(歩留まりが低い)。そのため、そもそもメーカーが積極的に製作したがらないというウワサも。
次週の記事では、近年メンズモデルも急速に数を増やしている注目のMOPウオッチを幅広く紹介する。
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文◎市村 信太郎