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【知る人ぞ知るアンティークオメガの名作】1970年代生まれの自動巻きアラームウオッチを深掘り

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


オメガ
メモマチック

今回紹介するのは、1970年代に製造されたオメガのメモマチックだ。
数あるオメガのアンティークウオッチのなかでも、アラーム機能を備えた極めて特殊なモデルであり、生産数も決して多くはなかったとされている。アンティークウオッチとしてはかなり大型な40mm径のケースを採用しており、重厚感あふれるケース造形は古さを感じさせないデザインだ。

アラームウオッチ(腕時計型)の歴史をさかのぼると、40年代後半に誕生したヴァルカンのクリケットの登場を機に、50年代にはジャガー・ルクルトのメモボックスなどが登場。その後、50年代後半から70年代にかけて、ジャガー・ルクルトやセイコーのベルマチック、エボーシュメーカーであるア・シールド社のCal.5008など、個性的な機構を備えた自動巻きアラームウオッチが数多く誕生する。本作は、そうしたアラームウオッチの中でもかなり後発の部類にあたるが、それゆえに他社製品と比較しても洗練された操作方法や機械設計が魅力的な1本だ。

【写真の時計】オメガ メモマチック。Ref.168.072。SS(40mm径)。自動巻き(Cal.980)。1970年代製。62万8000円。取り扱い店/WatchTender銀座

【画像:アラーム機能を備えたムーヴメントや文字盤のディスクを見る(全6枚)

ムーヴメントには、レマニア社製のCal.2980をベースとしたCal.980を搭載。通常のアラームウオッチでは、時計機能とアラーム機能のそれぞれに独立した二つの香箱車(動力用のゼンマイを収めた歯車)を用いるが、本ムーヴメントではひとつの香箱車の動力でアラームと時計機能の両方を動作させる設計を採用している点が特徴だ。また、裏ブタを叩いて音を反響させる方式ではなく、ムーヴメント外周に設けられたゴングをハンマーで叩いて音を鳴らす方式を採用している点にも注目したい。機械式の多機能時計ゆえに、ムーヴメント単体で7mm以上もの厚みがあるが、非常に完成度の高いムーヴメントとして仕上がっている。

操作方法については、2時位置のリューズを1段引くことでアラームのオン・オフが可能。さらに2段引きの状態で4時位置のリューズを操作すると、アラームの時刻設定が行える。ここで注目したいポイントが、他社のアラームウオッチと異なり、アラームの時刻設定用ディスクが2枚構成になっている点だ。外周の三角マーカーが時針、内周の二重線が分針を示しており、分刻みでの時刻設定が可能となっている。通常のアラームウオッチでは、時針が重なる時刻にセットする必要があるため、数分刻みでの設定が困難だが、本作では分針の位置も直感的に判断できるため、使用感が大きく向上している。とはいえ、完全に機械機構のみで動作しているため、アラーム作動時に数分の誤差が生じる可能性がある点は留意しておきたい。

全体のコンディションに目を向けると、ケースには使用に伴う小傷や打痕が見られるものの、ケースシェイプの崩れは確認できない。文字盤についてもキズや変色は見られず、非常に良好な状態を維持している。高年式アンティークウオッチならではの完成度の高さを備えた、オメガのメモマチックに注目だ。

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文◎LowBEAT編集部/画像◎WatchTender銀座

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