
右がレマニアのCal.15LT、左がオメガのCal.33.3。どちらも17石で毎時1万8000振動
当連載の31回でお届けした『【アンティークのクロノグラフ時計】有名もいいが、意外に無名も捨てがたい理由』と題した記事で、たとえ無名ブランドであっても有名ムーヴメントメーカーの機械が採用されていることについて触れた。それに関連した話題として今回はオメガのクロノグラフムーヴメントについて書きたいと思う。
1930年代のスイスの時計産業には約500社の時計メーカーがあったと言われているが、それを支えていたのは、その10分の1に満たないほどの数のムーヴメントメーカーだった。
当時ムーヴメントまで製造できる時計メーカーはほんのひと握りで、ほとんどはムーヴメントメーカーが供給するエボーシュと呼ばれる半完成品をベースに、独自に改良や仕上げを施して時計を製品化していたのである。そのため、ブランド名こそ違うものの中身の機械は同じということがほとんどだった(これはある意味現在も同じ)。
特にクロノグラフとなるとそれを作れるメーカーは極めて少なく、“ムーンウオッチ”の称号をもつ歴史的なクロノグラフ“スピードマスター”を生み出したオメガでさえ、最初の腕時計用クロノグラフムーヴメントとして42年に発表したCal.27CHRO (後にCal.321として初代スピードマスターに搭載される)は、複雑系ムーヴメントの製造を得意としていたレマニア社(現在はブレゲに吸収される)の設計・製造がベースとなっていた。
今回取り上げたのは、そんなオメガ初のクロノグラフではなく、オメガとレマニアがSSIH(スウォッチ グループの前身)に属し同じグループとなった32年以降にレマニアが初めて開発したクロノグラフムーヴメント、Cal.15TLを搭載した個体(写真右)である。このムーヴメントはオメガ名でも製品化(同左)されており、オメガの場合のキャリバー名はCal.33.3 CHROだった。
両者でムーヴメント名の数字が違うのはムーヴメントサイズの表記をレマニアがリーニュ、オメガがミリと、単位の違いによるものだ。ただ、分積算車と秒積算車のブリッジ形状や、リセットハンマーの規制バネがオメガ用にのみ追加されている点など、レマニア用の15TLとオメガ用の33.3とでは、多少の変更点があることが見て取れる。
ただ、このように一部改良されているとはいえど、ベースムーヴメント自体は同じもの。しかし、悩ましきかな時計としての市場価格となるとこれがレマニアとオメガでは桁が違ってくるほどオメガは高額となってしまうのである。
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