アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロレックス
デイトジャスト Ref.1600
今回紹介するのは、1968年前後に製造されたとされるロレックス デイトジャスト Ref.1600だ。
時計に興味のある人であれば、必ずと言っていいほど耳にする、定番シリーズではあるが、この個体は経年変化によって文字盤が変色しているのだ。経年変化による文字盤の変色と聞くと、時計自体の美しさを損ない、価値が落ちるというイメージをもたれがちだが、変色の仕方によっては、時計愛好家から高い評価を得る場合もある。
本個体は、もともとブラックミラーダイアル(艶のある黒文字盤)であったが、紫外線や湿気、経年によって塗料が茶色に変色し、独特な風合いの文字盤に変化している。こういった文字盤は“トロピカルダイアル”と呼ばれ、アンティークらしい時を重ねた風合いがマニアからの支持を集めている。

【写真の時計】ロレックス デイトジャスト。Ref.1600。SS(36mm径)。自動巻き(Cal.1570)。1968年製。138万円。取り扱い店/ムーンフェイズ
そしてこの個体の文字盤に注目すると、黒檀(エボニー)のような深みのある色合いと木目のような筋目が重なり合うことで、文字盤に木材を使用しているかのような温かみのある質感に変化している。もちろん、これを“ただ汚れた時計”と捉える人も少なくはないかもしれない。
だが、この色合いや質感には、本個体が過ごしてきた環境や時間、そして歴史が映し出されており、同じものは二つとして存在しない特別な魅力がある。
ムーヴメントは当時のロレックスが数多く採用していたCal.1570を搭載。専門の修理業者も多いため、定期的な整備を行えば今後も安心して使用できる、信頼性の高いムーヴメントだ。この個体では目立ったサビや腐食、整備による傷も見られない。
肌なじみの良いジュビリーブレスレットが装着されたエボニー柄のデイトジャスト。没個性になりがちな定番モデルに一石を投じる、トロピカル文字盤が魅力的な1本だ。ロレックスに限らず、自分好みの風合いに変化したエイジングダイアルをぜひ探してみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ムーンフェイズ