アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ポルシェデザイン by IWC
オーシャン 2000
今回紹介する時計は、ポルシェ911の初代モデルのデザインを手がけた、フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェが創立したデザインスタジオと、IWCのコラボレーションによって誕生したダイバーズウオッチだ。
このモデルが誕生するきっかけには、ドイツ連邦海軍(当時の西ドイツ)からの要望であったとされている。当時のドイツ連邦海軍は磁気機雷を除去するダイバーが使用するための時計を求めており、IWCは高い耐水性と耐磁性能を備えた時計の開発を進めることとなったのだ。

【写真の時計】ポルシェデザイン by IWC オーシャン 2000。Ref. 3504。TI(42mm径)。自動巻き(Cal.37521)。1980年代製。123万円。取り扱い店/ジャックロード
【画像:特徴的な裏ブタやブレスレットのロゴを見る(全6枚)】
これによって誕生したのが、三つに分類された軍用モデルの“オーシャンBUND”であった。そしてその数年後に、オーシャンBUNDの民生品であるオーシャン2000やオーシャン500が誕生したのだ。注意点として、軍用モデルの前者が耐磁性能を向上させたヒゲゼンマイなどを採用したムーヴメントを搭載しているのに対して、民生品のオーシャン2000などは一般的な素材を採用したムーヴメントを搭載している点に違いがある。今回紹介する個体も、ETA2892をベースとしたCal.37521を搭載するセカンドモデルであるが、いまでも補修パーツが容易に入手できる点が魅力のムーヴメントだ。
本個体の文字盤・針はともに、メーカーでアフターパーツに交換されることの多いトリチウム夜光を使用しており、貴重な初期文字盤も残されている。
ケースやブレスレットに注目すると、キズや打痕があまり目立たず、非常に良好な状態を保っている。艶消し仕上げのチタンケースのおかげか、小キズがあまり目立たないのがうれしいポイントだ。製造当時は2000m級の防水性能を実現した堅牢なケースと、軍用時計をルーツにもつ時計らしからぬ、肌になじみやすい流線形のデザインが魅力的だ。
当シリーズ購入時の注意点として、前期型と中期型のブレスレットは、構造上破損や摩耗が起こりやすいため、コンディションをよく確認しておくことを推奨したい。特に、破損していない場合でも、ブレスのガタつきや歪みが見られる場合は購入を控えたほうが良いだろう。日常生活での実用を考えている場合には貫通形のピンを採用した、後期型の個体を探すのもおすすめだ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎ジャックロード