アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ヴァシュロン・コンスタンタン
ラウンド オートマチック
今回紹介するのは、1960年代に製造されたヴァシュロン・コンスタンタンの自動巻きモデル、Ref.6394Qだ。
一見すると、防水性を高めるためにネジ込み式の裏ブタを採用した、ごく普通のSSケース製の実用時計にも見えるが、なんとケース全体にK18WGをふんだんに使用している。その贅沢さをひっそりと主張するかのように、ケースサイド上面には布地のような繊細な加工が施されている。
ドレスウオッチらしい繊細さを残しつつも、がっしりとしたラグの造形や12角形のスクリューバックなど、実用時計らしい堅牢さも感じさせる作り込みが魅力的だ。重厚な自動巻きムーヴメントを搭載しているため、どうしても厚みは出てしまっているが、裏ブタ周りに傾斜をつけることで、ケースサイドからの見た目をすっきりとまとめている。

【写真の時計】ヴァシュロン・コンスタンタン ラウンド オートマチック。Ref.6394Q。K18WG(36mm径)。自動巻き(Cal.1072)。1960年代製。93万5000円。取り扱い店/喜久屋商事 時計部
うっすらとシャンパン色にエイジングしたサンレイ仕上げの文字盤には、経年や湿気による白い斑点状のシミがわずかに見られるものの、目立った変色やキズ、剥がれはなく、良好なコンディションを維持している。ロゴと、ブランドを象徴するマルタ十字、AUTOMATICなど最低限の要素のみが印刷されたシンプルなデザインだが、どこか凄みを感じさせる荘厳な雰囲気を漂わせている。また、ブランドロゴのVACHERONとCONSTANTINの間に“&”が入る点も、当時のヴァシュロンならではの特徴だ。
ムーヴメントには、ジャガー・ルクルトのCal.493をベースとしたCal.1072を搭載。ローター外周部にK18YGを使用し、ローター軸にはルビーローラーを採用することで、巻き上げ効率があまり高くないと言われるスイッチングロッカー式の巻き上げ機構でありながら、優れた巻き上げ性能を実現している。また、大型のローターに対してベースムーヴメントが小径であったものの、精度は極めて良好であったとされている。
シースルーバックでの鑑賞を前提としていないムーヴメントであるにも関わらず、細部にまで繊細な仕上げが施されており、同社の威厳を感じさせる気合の入った仕上がりだ。
雲上ブランドであり、かつホワイトゴールド製でありながら、高い実用性を備えたヴァシュロン・コンスタンタンのRef.6394Q。その存在にぜひ注目したい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎喜久屋商事 時計部
