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なぜ “ヴィンテージロレックス”に魅了されてしまうのか?|菊地吉正の【ロレックス通信 No.303】

アンティーク時計専門のイベントとしては国内最大となる“アンティーク時計フェア in 銀座”の開催がいよいよ来週の8月2日(土)、3日(日)に迫った。全国30ものアンティークショップや卸を専門とするディラーなどが参加、数多くのアンティーク時計が一堂に揃う販売会だ。そして初日の開始2時間だけは入場料が6500円と高額(だだ昼12時からは1200円)。それでも時計愛好家の多くが来場する。

なぜ最初だけ高いのか。それは単純で時間が早ければ早いほど潤沢に商品が揃っていて、コンディションや価格などいい個体を手に入れられる確率が高いためである。

そんなディープな時計愛好家たちだが、実は現行時計派とアンティーク時計派に大きく別れる。特にアンティーク時計派は古い時計一筋で現行品にはほとんど興味を示さないという人が大半だ。かく言う筆者もそうだが、元々は現行品から時計に興味を持ちはじめ、やがて知識を得てくるとさらに突き詰めたくなり、その過程でアンティーク時計に引き込まれてしまったという人も多いためなおさらなのだろう。

ではアンティーク時計のどこに魅了されるのだろうか。これは時計に限ったことではなく家具や雑貨、洋服すべてに共通することで歴史や手作りならではの高い品質はもちろんだが、一番は経年変化によって生まれる独特の味わいなど一点ものとしての希少性。つまり「オンリーワン」だということに尽きるのではないかと思う。

ここに掲載した写真は筆者が所有するロレックスのエクスプローラーだ。ただ現行品ではなく1978年製のRef.1016でいまから47年も前の個体である。

そのため実際は時分針には若干の腐食が見られ、プラスチック製の風防には傷もある。そのため決してキレイなものではない。ただ、逆にほど良くヤレたこの感じが何ともいい風合いを醸す。

たとえ製造年が同じエクスプローラーであっても、文字盤の焼け具合や傷などの経年変化で生じる個体のコンディションにはひとつとして同じものがない。そういった長い年月を経てきたからこその「オンリーワン」の味わいは、現行品ではけっして味わうことのできないアンティーク時計ならではの魅力と言える。

加えてこのロレックスを筆頭とする一部の歴史ある老舗ブランドに限っては、オンリーワンの魅力に加えて金銭的な価値がかなり高い点も大きな魅力だ。しかも特にロレックスはいまではかなり研究が進んでいて細かく体系化されているため、ある意味ではわかりやすい。そのため、現行品派の時計愛好家であってもロレックスのアンティークだけは好んで所有している人は案外多い。

冒頭に紹介したアンティーク時計フェア in 銀座には、そんなアンティークのロレックスが数多く出品される。しかもそれをひとつの場所で一気に見られるまたとない機会。一見の価値ありだ。

【アンティーク時計フェア in 銀座の詳細はコチラ】

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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