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昭和世代に懐かしい【3面、5面、9面】1970年代に流行った多面カットガラス風防|菊地吉正の時計考_042

通常、3面、5面、9面と奇数が一般的だった。写真はラドー

今回は1970年代に多くみられた腕時計のデザイン的な特徴のひとつ“多面カットガラス”について書きたいと思う。おそらくは60歳代の方なら懐かしく感じられるのではないか。

多面カットガラスとは、時計の風防が一般的なフラットではなく、3面、5面、9面といわゆるダイヤモンドのように立体的にカットされているデザインを指す。

実のところ時計界では、60年代後半からアクリルガラス(プラスチック)に代わってクリスタルガラスが風防に使われるようになる。クリスタルガラスとはミネラルガラス(いわゆる一般的なガラス)のなかに特殊強化加工を施したもので、透明度と屈折率が高く、クリスタルのように美しく輝くことから名付けられたものだ。

つまりこのクリスタルガラスの登場によって、アクリルでは強度的に難しかったガラスの加工が可能となったことから、多面カットの風防を採用した時計がスイスで誕生したと言われている。

筆者のセイコー・ロードマチック

多面カットすることで光の屈折によって見え方が変化し、宝石のようなキラキラとした輝きも生まれることから、特に当時の女性向け腕時計に採用され爆発的な人気となったようだ。そして男性モデルにも採用されるようになり、日本にも波及した。

そして、日本では製造技術の進化もあって様々な複雑な多面カットガラスが登場するなど独自の進化を遂げ、当時の腕時計の新たなデザイン的トレンドとして流行。セイコーだけでなくシチズンやオリエントなども採用するなど、メンズモデルの場合はスイスよりも圧倒的に日本ブランドに多い。

ちなみに上の写真は筆者が中学校に入学した時に両親から買ってもらった1972年製のセイコー・ロードマチック。この風防にもそんな9面のカットガラスが採用されていた。当時はカットガラスとともに濃淡のある独特のカラー文字盤も流行っていたのである。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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