アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
オリエント
ジェンツマチック
今回取り上げるのは、1970年代頃に製造されたオリエントのジェンツマチックだ。
多面カットの施されたケースや、ステンレススチールの無垢材を用いたブレスレット、麻の葉模様の文字盤など、70年代の時計に多く見られた煌びやかなディテールを備えたモデルだ。文字盤6時位置には、モデル名である“ジェンツマチック”を意味するGMのロゴが配されている。
オリエントらしい個性がありながらも、癖の強さが控えめであり、シャープでスタイリッシュな印象を与える外装デザインが魅力的だ。麻の葉模様の文字盤やゴールド色の針とインデックスが当時の活気を感じさせるポイントだ。
1961年頃に登場したスーパーオートを始めとして、自社で様々な自動巻き腕時計を生産してきたオリエント。伝説的な多石競争の象徴である“グランプリ”シリーズや、品質・デザイン・価格の3つのエースを意味する“AAA(スリーエース)”、キングダイバーやジャガーフォーカスなどの名で知られた“クロノエース”など、オリジナリティあふれる製品を数多く手がけていた。

【写真の時計】オリエント ジェンツマチック。Ref. 6269112-60。SS(36mm径)。自動巻き(Cal.26960)。1970年代製。6万2800円。取り扱い店/WTIMES
【画像:麻の葉模様の文字盤や純正ブレスレットの状態を見る(全5枚)】
そして71年には、現在も同社の基幹として第一線で活躍し続ける自動巻きの傑作ムーヴメント、“Cal.46系”を開発する。ちなみに、この46系自体は実はライバルであるセイコーの亀戸精工舎が製造していた“Cal.70系”をベースに技術を発展させて生まれたという、国産自動巻きの深い技術的血統の歴史が存在していた。とは言え、Cal.46系は自動巻き機構の構造を中心に、大幅な改良を加えられているため、一見するとCal.70系の設計をベースにしているとは思えないほど手が加えられているのだ。
国産他社と比較すると、ムーヴメントの薄型化やハイビートによる高精度化の面において遅れをとっていたオリエントは、他社からの技術提供を受けることで生産性を向上させる方針へと舵を切っていたようだ。
そして、本作のムーヴメントに関しても、当時のライバル企業であるセイコー(こちらも亀戸精工舎)から供給された高級機用の“Cal.52系”ムーヴメントが採用されている。
同ムーヴメントは、キングセイコー(52KS)やロードマチックスペシャルなど、セイコーのハイエンドモデルを支えた毎時2万8800振動の薄型ハイビートの名機だ。のちに90年代の機械式復刻に際して“4S系”として大復活を遂げるほどの高い完成度を誇り、その性能の高さは現在でも愛好家の間で支持されているほどだ。
ライバル社の優秀なリソースと、自社の野生味あふれる造形センスを最高の形で融合させて、他社との差別化を図ってきたオリエント。定番のヴィンテージから少し外れた、昭和の香りを残す個性派の国産時計を楽しみたい愛好家に、ぜひ注目してほしい1本だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WTIMES

