アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
シチズン
クロノマスター クロノメーター
今回取り上げるのは、1969年頃にシチズンが製造したフラッグシップモデル、クロノマスター クロノメーターの手巻きモデルだ。
ホワイトシルバー色のサンレイ文字盤にペンシル針、シンプルな形状のステンレスケースを組み合わせた、オーソドックスなデザインで、同時期のキングセイコーやグランドセイコーを意識していたことがうかがえる。
文字盤の6時位置のアプライドロゴや裏蓋に嵌め込まれた金色のメダリオンには、現在でもシチズンのフラッグシップ機に用いられるイーグルマークが鎮座している。こういった点からも本作のグレードの高さが垣間見えるだろう。また、当時のシチズンが積極的に採用していたクリスタル風防も特徴的で、立体的なボックス形の形状がシャープな意匠を備える全体の雰囲気にマッチしている。
またステンレススチール製のケースは、気密性の高いねじ込み式の裏ブタを採用しており、実用面においてもしっかりと考慮されたものであった。

【写真の時計】シチズン クロノマスター クロノメーター。Ref.4-020171。SS(36mm径)。手巻き(Cal.0920)。1969年頃製。11万8000円。取り扱い店/WTIMES
【画像:サンレイ仕上げの文字盤やメダリオン付きの裏ブタの状態を見る(全5枚)】
そして、本モデル最大の特徴として、手巻き式かつ毎時1万8000振動のロービートのムーヴメントを調整し、クロノメーター認定を取得していたという点が挙げられるだろう。
本個体に搭載されるCal.0920は、シチズンが製造した手巻き中3針(センターセコンド)の名機、“ホーマー(Cal.0200系)”をベースとしていた。本ムーヴメントはシンプルかつ堅牢な設計で名を馳せ、機械による自動組み立ても視野に入れており、シチズンの手巻きモデルを幅広く支えた優秀なムーヴメントであったのだ。そして、細部に職人の手を加えることで更なるポテンシャルを引き出すことも可能としていた。
さらに、50年代末期から60年代初頭の日本国内に見られた、独自にクロノメーターと謳っていた時計とは異なり、1968年に設立された日本クロノメーター協会による公式認定を受けたクロノメーター機であった点も特徴と呼べるだろう。
ハイビート化による高精度を実現していたセイコーとは異なり、既存のロービート機をブラッシュアップして高精度化を実現したというアプローチの違いも興味深い点だ。
現在でも、ヘリテージモデルとして販売・宣伝を行っているセイコーのフラッグシップ機であったキングセイコーやグランドセイコーと比較すると、復刻モデルの少なさや同社の歴史を振り返る機会の少なさからか、認知度や知名度の面で劣っているように見えてしまうシチズンのクロノマスター。
ヴィンテージにおいては、どこかパッとしない印象をもたれることのあるシチズンだが、デザイン面や技術面においても目を見張るモデルが数多く存在している。まだまだ魅力的なプロダクトの数々が眠るシチズンのヴィンテージウオッチにぜひ注目してみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WTIMES

