数週にわたりお届けしている「初心者におすすめのアンティーク時計」連載。先週の記事ではムーヴメントのなかから手巻きの名作を取り上げたが、今回のテーマは“自動巻き”だ。
巻き上げ不要で実用性が高い自動巻きキャリバーだが、アンティーク時計の自動巻きは現行に比べ、どうしても巻き上げ性能で劣る。だが、最高傑作と呼び声高いロレックスの1500系やオメガの550系、IWCの85系などは非常に巻き上げ性能が高く、メンテナンスしだいで現行と遜色ないほどの高精度が出せるため、初心者にも非常におすすめだ。
【写真全9枚】ロレックス、オメガ、IWC“傑作自動巻きキャリバー”3選
【「Cal.1500系(1570)」/ロレックス】
“時計史に燦然と輝く、近代自動巻きの祖”

■製造開始1965年〜。毎時1万9800振動。6.3mm厚。1530/1520/1535/1525/1560/1570/1580/1555/1556/1565/1575/1565GMT/1575GMT
近代パーペチュアルの祖にして、ロレックス史上最高とも称される傑作キャリバー。
大径のテンワを力強く振れるムーヴメントの基礎体力に加え、高い等時性を実現できるフリースプラングを採用し、後の方向性を決定づけた。ピンク色の硬化処理を施した2枚のリバーサーはいまやロレックスの象徴とも言えるパーツで、現代まで基本的な設計は何ら変わっていない。
精度や信頼性の高さはもちろん、定期的なメンテナンスさえ欠かさなければ防水性もある程度期待できる。名実ともに毎日使えるアンティークの本命だ。
【写真】アンティークロレックスの最高傑作、1500系ムーヴメント部品
【「Cal.550系(561)」/オメガ】
“最も多くの派生機をもつ、オメガの全回転薄型名作キャリバー”

■製造開始1958年〜。毎時1万9800振動。5.0mm厚。550/551/552/561/562/564/565ほか
ハーフローター式から始まったオメガ自動巻きのなかで、最も多くのファミリーキャリバーをもつ第3世代の550系。
コンステレーションに搭載された日付けなしの551、日付けありの561、日付けのクイックチェンジ機能も付いた564はクロノメーター仕様で、とりわけ優れた精度と実用性を発揮する。ほかのキャリバーもシーマスター、シーマスターデビルなどに搭載されており、高い実力ながら比較的安価で狙えるのも大きな魅力だ。
【「Cal.85系(8541B)」/IWC】
“IWCを代表する、堅牢かつ合理的なペラトンイズムの傑作”

■製造開始1950年〜。毎時1万8000振動。5.9mm厚。85/852/8521/853/8531/854/8541/8541B
時計師アルバート・ペラトンが開発した独自の“ペラトン式”巻き上げ機構を搭載しており、高い巻き上げ効率と耐久性を誇る名作。
初期は1万8000振動だったが、60年代中盤に1万9800振動へと引き上げられ、薄型化にも成功した。耐磁時計のインヂュニアにも採用されるなど、防水性や耐震性も備えているが、時計を軽く振ってカタカタと音が鳴る個体はローター芯が摩耗しているため要注意だ。
次回は“時計ジャンル”のカテゴリーへと移り、人気のクロノグラフの狙い目を紹介する。
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文◎市村 信太郎
