アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
セイコー
クレドール
今回取り上げるのは1980年代に製造された、セイコー クレドールの角型ドレスウオッチだ。
アンティークウオッチを中心として紹介する本コーナーのなかでは、アンティークと呼ぶには新しいうえにクォーツ式の腕時計だが、時計愛好家必見の作り込みが魅力的な個体であったためピックアップした1本だ。
オクタゴン(八角形)に近いスクエアケース、そしてケースとブレスレットが一体となる構造など、80年代半ばの高級ドレスウオッチに共通する最大のトレンドを取り入れている。ステンレススチールを基調としつつも、インデックスや針、ベゼルやブレスレットの端部にアクセントとしてゴールド色を添えた、コンビネーションカラーが魅力的だ。
文字盤に施された繊細なピラミッドパターンや時分針の造形、軸部分に飾り蓋を施した秒針など、細部にまで徹底されたディテールが高級機としての品格を感じさせる。ケースやブレスレットなども、各所の面がしっかりと出されたシャープな印象でありながら、エッジ部分には肌触りの良い曲面が多用されている点も興味深い。

【写真の時計】セイコー クレドール。Ref.7771-5011。SS×K22SGP(30×32mmサイズ)。クォーツ(Cal.7771)。1980年代製。14万3000円。取り扱い店/時計の玄人
【画像:立体的な文字盤のディテールや丁寧な仕上げのケース一体形ブレスレットを見る(全6枚)】
現代の高級時計のなかには、エッジを鋭く切り立たせてシャープな印象を与えるデザインも多く見られるが、本作は使用者を第一に考え、肌や袖口を傷つけない滑らかさを追求していたことがうかがえる。実際に同年代のクレドールを手に取ると、ケースやブレスレットの滑らかで吸い付くような着用感に気付かされる。平面と曲面が絶妙なバランスで共存する造形が、心地よい装着感を実現しているのだろう。
また、バックル部分の構造も特徴的だ。ステンレススチールの無垢材で成形された三つ折れ部分にロゴが刻まれており、バックルを閉じた際に、クラスプ部分からそのロゴが顔を覗かせる仕組みになっている。
強度的な理由などからか後年に姿を消してしまった構造だが、現代の主流である両プッシュ三つ折れ方式のバックルと比較しても、非常に洗練された美しい設計と言える。
ちなみに、ムーヴメントには亀戸精工舎が製造を手掛けたクォーツ式のCal.7771を搭載。クォーツ式でありながら6石もの軸石を使用した高級機だ。
今なお優雅で美しい時計作りを続けているクレドールだが、かつてはクレドール ロコモティブのような、力強い印象を与えるラグジュアリースポーツ的な要素を備える時計も数多く手がけていた。そんな往年のクレドールが残したステンレススチール製のブレスレットモデルは、国産ドレスウオッチの黄金期を愉しむうえで、今改めて注目したい存在だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎時計の玄人

