世界的なヴィンテージブームにおいて、これまであまり日の目を見なかった1990年代生まれのモデルへの注目度も少しずつ高まっている昨今。時計界における90年代は、往年の名門の復活と数々の新興ブランドの誕生を背景にアイコンモデルを多く輩出した時代である。
そこで本連載では、そんな平成初期のアイコニックな意匠を備えた名作を毎週1モデルクローズアップ。今回はジラール・ペルゴが発表した大ヒットコラボ作“フェラーリ クロノグラフ”を紹介しよう。
【実機写真6枚】歴史的大ヒットコラボ作“フェラーリ クロノグラフ”
80年代後半以降の機械式時計の復活劇の裏側には、買収や休眠によりアイデンティティを失いかけたかつての名門を復活させた立役者が存在している。宝飾品の輸入販売会社トラデマを経て、後にジラール・ペルゴのCEOとなるルイジ・マカルーソもそのひとりと言えるだろう。
90代におけるジラール・ペルゴの代表作のひとつであるフェラーリクロノも、彼が手がけたモデルであり、フェラーリとのコラボウオッチとして史上最も成功したモデルと評価されている。まさに、ルイジ・マカルーソ時代のジラール・ペルゴを象徴するモデルのひとつだ。
予備知識なしだとスイスの古豪であるジラール・ペルゴとフェラーリには接点を見出し難いかもしれないが、ルイジ・マカルーソは元レーサーであり、当時、イタリア市場で絶大な影響力をもつトラデマ社のCEOである。彼の来歴を考慮すると、まさに必然と言えるコラボレートだったのだ。

■Ref.8020。SS(38mm径)。5気圧防水(新品時)。自動巻き(Cal.2280-581)
GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ペルゴ)
フェラーリ クロノグラフ
1990〜2000年代初頭に展開されていた、ジラール・ペルゴとフェラーリのコラボレーションモデル。フェラーリを象徴するカラーであるレッドダイアルのほか、ブルー、ブラック、イエローなど多彩な文字盤が存在する。
このフェラーリとのコラボレーションが成功を収めた最大の要因と言えるのが、その洒脱でシンプルな意匠だろう。フェラーリとのコラボウオッチはジラール・ペルゴ以降も様々なブランドが手がけているが、過度にフェラーリ色を強調し、モータースポーツにインスパイアされた装飾をゴテゴテと加えたデザインになることが多い。
対して、このフェラーリクロノでは、小振りな38mmサイズ、ドーフィン針を備えた視認性の高い文字盤と、古典的なスリーカウンタークロノグラフの美点を崩すことなく、フェラーリのエッセンスを取り入れているのが印象的だ。

リューズトップや尾錠にさりげなくフェラーリのシンボルである跳ね馬のレリーフを刻印。コラボモデルの特別感を高めている
文字盤にはブランドロゴ以外に余計な表記を入れず、12時位置に跳ね馬のレリーフやフェラーリが想起されるレーシーなカラーリングを際立たせた意匠にも、デザインにうるさいイタリア人らしいルイジ・マカルーソの慧眼が光る。
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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