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機械式腕時計には、クロノグラフやアラーム、リピーター機能など、ゼンマイの動力と歯車だけで作動する純粋なアナログ機構が搭載されており、多くの愛好家を魅了してきた。なかでもリピーターウオッチは、その複雑性と希少性から非常に高価で、一般消費者には手が届きにくい存在となっている。
一方、同じ鳴りモノ系でもアラームウオッチは1950年代のアメリカ市場でのブームを背景に、各社が競って量産を行ったことから、現在でも流通量が多く、比較的手頃な価格で入手することが可能だ。そこで今回は、鳴り物でありながら意外とお手頃な手巻きアラームウオッチを紹介しよう。
エドワード・E・エアー
手巻きアラーム
今回取り上げるのは、1960年代頃にEDWARD E. AYRE(エドワード・E・エアー)が手掛けた、手巻き式のアラームウオッチだ。
同社は腕時計専門のブランドではなく、アメリカの宝飾店であったとされており、中身はスイスのコンコルド社のOEMであると推察される。当時のアメリカ国内のアラーム時計需要を満たすために製造されたと思われる個体だ。
アプライドのアラビアインデックスと、非常に長い時分針が採用され、当時のアラーム時計に多く見られた、2つのリューズが特徴的だ。
ムーヴメントにはアシールド社製のCal.AS1475を登載。時計駆動用のゼンマイとアラーム用のゼンマイがそれぞれ独立しているのが特徴で、特殊な機構を採用していながらも、整備性と汎用性に優れたムーヴメントとして評価されている。
設定した時刻になるとアラーム用ゼンマイが解放され、ムーヴメント内部のハンマーが高速で動作して、裏ブタに立てられたピンを叩く構造が特徴的だ。

【写真の時計】エドワード・E・エアー アラーム。SS(34mm径)。手巻き(Cal.AS1475)。1960年代頃製。16万8000円。取り扱い店/WTIMES
【画像:2つのリューズや手巻き式のアラーム機能付きムーヴメントを見る(全6枚)】
4時位置のリューズが時計側のゼンマイの巻き上げと時刻合わせ。2時位置のリューズがアラーム用ゼンマイの巻き上げとアラーム時刻の設定に機能が割り振られている。アラーム時刻の設定は、通常の時刻合わせと同様に、2時位置のリューズを引き出すことで操作が可能で、リューズを引きだしたままにすることでアラームがオンの状態、押し込むとオフの状態になる。
複雑な機構にも思えてしまうが、Cal.AS1475は比較的単純な設計を採用しており、整備性にも優れていると評価されている。さらに、アラーム機能付きのムーヴメントのなかでも屈指の生産数を誇っていたため、現在でもデッドストックのパーツが入手できる場合もある。もっとも、アラーム機構を正常に作動させるためにも、3~5年おきの定期的なメンテナンスは欠かさないようにしたい。
また、アラームウオッチでは音量を確保するために、裏ブタの定位置にピンを立てる必要があったため、気密性の高いねじ込み式のケースを採用できない場合があった。だが、このモデルではをねじ込んで裏ブタを押し付ける方式を採用し、スナップバック以上の気密性を確保している点が特徴的だ。
王道のヴィンテージとはひと味違う個性を楽しみたい人や、メカニカルなギミックを体験したい人に、ぜひおすすめしたい1本だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WTIMES

