各ブランドの超定番モデルの相場動向をテーマにお届けしている当連載。前回の記事ではブライトリングのナビタイマーを取り上げたが、今回はオールドインターの愛称で玄人からの評価も高いIWCの個性派スポーツウオッチ“ヨットクラブ”だ。
ヨットクラブに搭載されている“ペラトン自動巻き”は高い精度と信頼性、巻き上げ効率を誇る自動巻きムーヴメントの傑作。ロレックスの1500系やオメガの550系と比肩する存在であり、オールドインターの定番にして入門機にも非常におすすめだ。
85系と呼ばれるペラトン自動巻きを搭載したペットネーム付きモデルには、耐磁時計のインヂュニアやダイバーズウオッチのアクアタイマーの名が挙げられるが、これらは流通量が少なく高騰化が激しいため、購入の難易度は高い。
そこでおすすめしたいのが今回取り上げる“ヨットクラブ”だ。同シリーズはとりわけ玄人から高い評価を受けているスポーツモデルで、ペラトン自動巻きの完成機を小型化したCal.854を搭載して1967年にリリースされた。

初出1967年。名機ペラトン自動巻きを搭載した“ヨットクラブ”。手頃な相場で狙えるオールドインターのペットネーム機としておすすめで、マニア人気も高い
特筆すべき点としては、ムーヴメントをインナーケースに入れ、五つのゴムパッキンで宙吊りにして耐震性を向上させたこと。これは後にインヂュニアにも採用されるなど、高い実用性を誇った。おおよそスポーツウオッチとはかけ離れた地味な意匠だが、デザインを手がけたのは巨匠のジェラルド・ジェンタであることも面白い語りどころである。
ヨットクラブは発売当時の販売価格も同時期のインヂュニアやアクアタイマーよりも安価だったが、前述した高い耐震性・耐衝撃性に加えて防水構造にも定評があり、リューズを交換すればいまなおある程度の防水性をもつことができる(もちろん、過信は禁物であるが)。なにより、ほかのシリーズに比べて高騰しておらず、いまでも30万円台から狙える割安感は大きな魅力だろう。

ヨットクラブに搭載されている、二つの爪で主ゼンマイを巻き上げるラチェット式ペラトン機構の自動巻きムーヴメント。非常に高性能だが、爪がかかる歯が磨耗して巻き上げ効率が落ちている個体も少なくない。時計を振ってみてローターから異音がしないかは必ず確認したい
気になる相場については、ホワイト文字盤は30〜40万円台、カラー文字盤は60万円台ほどで流通している。
「ヨットクラブはもともと比較的製造数が多かったこともあり、相場が安定しています。近年は当時からのオリジナル性の高い個体は評価が上がっており、ブルーやグレー、マーブルなどのカラー文字盤なども高騰していると感じますね」(セレクト/代表・杉田氏)
著者profile◎市村 信太郎
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