
数万円で買える国産ヴィンテージ第4弾は“チャンピオン”を取り上げる。前回第3弾では “クロノス”を取り上げたが、チャンピオンはその廉価グレードとして発売されたモデルだ。
そのためまずは前回のクロノスについて簡単におさらいすると、セイコー初の独自設計で諏訪精工舎が開発したムーヴメントを搭載する “マーベル”。 クロノスはその対抗馬として第二精工舎が開発したものだ。高級品として高精度化と薄型化が図られており、チャンピオンはこの基本設計を継承する。
では、チャンピオンの魅力とはどこにあるのか。国産時計研究家の本田義彦氏は次のように語っている。
「クロノスでは精度の安定性を高めるために、心臓部のテンプを両方から支える両持ち式テンプ受け(ブリッジ)が採用され、しかもそれはS字型の優美な曲線に仕上げられている点で高く評価されました。チャンピオンはそれをベースにしつつ仕上げを簡素化したモデルです。
この両持ち式テンプ受けはその後ゴールドフェザー、キングセイコー、45系だけでなく天文台コンクールのムーヴメントにも引き継がれてきましたが、チャンピオンの後継機以降の普及機では継承されることはありませんでした。つまり第二精工舎のアイデンティティともいえるこの両持ち式テンプ受けを継承した最後の普及機と言えます」

セイコー チャンピオン
普及機として量産化するために、両持ち式テンプ受けのS字型は、曲線的なものから加工がしやすい直線的なものに変更されるなど各部の仕上げを含めてコスト面は確かに抑えられている。しかし普及機でありながらも高級機クロノス譲りの基本設計はしっかりと継承されている点にチャンピオンの魅力があると本田氏は言う。
なお、同じチャンピオンでも後に登場するチャンピオン850やカレンダー付きの860では、チャンピオンの名を受け継いでいるものの、ムーヴメントはフェアウェイがベースとなっているため両持ち式ではなく、片側だけで支える片持ち式テンプ受けになるなどさらに簡素化されてしまった。

セイコー チャンピオン カレンダー
さてここに取り上げたチャンピオンの2機種は、両者ともにハチマキのように外周に設けられた帯がデザイン的アクセントになったモデル。シンプルなステンレススチールタイプはブラックのツートンが引き締まった感じでダーク系スーツに。一方の金メッキケースはゴールド使いが大人っぽく、ブラウン系ジャケットなどこれからの秋モードに映えそうだ。ちなみにこの金メッキはEGP(Electro Gold Plating)と呼ばれる20ミクロンの電気金メッキ。そのため通常の金メッキより膜厚が厚い仕様となっている。
チャンピオンはこれ以外にもまったく違う様々なデザインが展開されているため、自分の好みやファッションに合わせていろいろ探してみてはいかがだろうか。
セイコー チャンピオン。Ref.14021。SS(35mm径)。手巻き。1960年代。9万9000円【LB-260035】
https://lowbeat.jp/jvw-shop/year/1960/lb-260035/
セイコー チャンピオンカレンダー。Ref.15032E。SS(EPG・35mm径)。手巻き。1962年製。8万8000円【LB-260060】
https://lowbeat.jp/jvw-shop/year/1960/seiko-champion-calender/
協力◎JAPAN VINTAGE WATCH SHOP

